第85回 大人になった我が子を意識しながら、子育てをしよう! (2018年4月号)
記事本文
我が子にどんな大人になって欲しいか、意識しながら育てていますか?
例えば、早く歩けるように、早く字が読めるように等、その子の発達段階の少しだけ先を見ている方が多いように感じています。
もちろん、発達に遅れがある場合、早めに気が付く方が良いので、その視点も必要です。ただ、少し先を意識すると同時に、もっと先、我が子が大人になった時を見据えて育てていく事も大切です。
他の子より半年早く三語文が出たって国語が得意になるとは限りませんし、逆あがりができるのが園で一番遅くても、大人になった時、運動音痴になるとも思えません。
つい半年先、1年先を意識して子どもを育ててしまいますが、子どもに「早くこうなって欲しい」「あの子みたいに〇〇できたらいいのに」と思った時は、そ
の能力は今すぐ身につけないと、大人になった時に困るものなのか、考えてみて下さい。今の年から20歳くらいまでを想像して、数年も待てば身に付くものだと思ったら、慌てずにその子が自然に身に着けられる時期を待ってあげましょう。
そして、できる・できないではなく、長所を見て褒めてあげて下さい。
例えば、小さい子に優しくした時などに「本当に優しいのね。ママ、嬉しいわ」と褒める事で、子どもはまた人に優しくしようとします。そうして、子どもは褒められたところを伸ばしていきます。
幼少期に培った優しさなどの性格は、その子の人格のベースとなり、大人になってからのものの考え方や生活に大きな影響を及ぼします。
我が子が20歳を超える頃、どんな大人になっていて欲しいですか?
そのためには、どんな風に育てればいいでしょう?
ぜひ、そんな視点も持ってみて下さい。
実践してみよう!
こんな時、どうする?
子どもが満面の笑顔で、「ママ見て! 名前書けたよ」と読めない文字の書かれた紙を持ってきた。
NGパターン: 教えようとするママ
ママ 「もう! AちゃんもBちゃんもちゃんと書けるのに!」と添削してやり直させる
子ども 「ぼく、だめなんだ…」と半べそで書き直し
OKパターン: 興味を持つまで待つママ
ママ (1年生で書けるようになれば十分だわ)
ママ 「上手にかけたわね!!」と読めない文字だけど褒めてあげる
子ども 「わーい!」と笑顔で嬉しそう
子どもが文字をしっかり書けないのを見て、入学目前で焦る気持ちも分かりますが、年中までであれば慌てる必要は全くありません。
無理やりやらせて苦手意識を持たせるより、興味を持つまで待つことも考えてみて下さい。
夫婦で応用 「パパも褒めた方が伸びるはず!」
例えば、下手くそな料理でも、頑張って作ってくれたのなら「すごく嬉しい!美味しいよ」と褒めてみよう!
誉め言葉が嬉しければまた作ろうと思います。何度も作っている内に、少しずつ手馴れて上手になるかも知れませんよ。
オススメ本
「無戸籍の日本人」
(井戸まさえ、集英社)
元国会議員である著者が我が子が無戸籍となった経験を元に、法制改革を働きかけながら無戸籍者の支援を
した経験を綴ったノンフィクション。
無戸籍の日本人は1万人以上だという。彼らの生活実態は衝撃的である。
(テニテオ 2018年4月号より)
テニテオ編集部の許可を得て掲載しています。無断での転載は、固くお断りします。