第72回 年度末、年度初めの乗り切り方 (2017年3月号)

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テニテオ,teniteo,子育て講座,2017年3月

保育園や幼稚園への入園前、多くの子どもは不安を感じ、とても緊張しています。また、学年が上がる前も「一つ大きくなる」という嬉しさの中、いい知れない不安を感じたりするものです。
そのため、2~3月は多くの子どもが「何故か落ち着きがない」「何故かイライラしている」「何故かすぐ泣く」など、情緒不安定になりやすい時期です。

 

まずは、そういう時期だと知ってあげて下さい。
知っていれば、子どもが不思議なくらい泣き虫だったとしても、いつもより気をつけて甘えさせてあげたり、イライラしていても「仕方ないな」と受け入れてあげたりする事ができます。
親がありのままの自分を受け入れてくれていると分かれば、子どももじきに落ち着いてきますよ。

 

そして「そうだよね、不安だよね」と優しく見守る以外に、新入園、新入学前には、もう一つ親のできる大切な仕事があります。
ママ自身、例えば高校入学前など環境が大きく変わる前、緊張しませんでしたか?
年を取れば取る程、色んな情報を事前に仕入れていて、どんなところに行くのか分かっている分だけ、「きっと大丈夫」とも思えます。

 

でも幼児の場合、保育園や幼稚園がどんなところかよく分かりません。小学校がどんなところかは多少教えてもらっていますが、それでも知っている情報はわずかです。
何がどうなっているか分からない、それが一番の不安の元となります。

 

ママはぜひ、子どもが入る園や学校がどんな場所か、できたら、その場所が楽しいことを教えてあげて下さい。そして、困った時には誰を頼れば良いか「先生にこんな風に聞いたら助けてくれるよ」と言う事を教えてあげて下さい。もしもの時に助けてくれる人が分かるだけでも、子どもの心のよりどころになり落ち着きますよ。

 

実践してみよう!

こんな時、どうする?

 

入学前の5~6歳児(年長さん)。
最近、なぜかイライラと怒ってばかりの男の子です。

 

NGパターン: ママが怒っても、イライラが止まらず、癇癪を起こす

 

ママ 「ほら! もうすぐ小学生でしょう! しっかりしなさい!」

 

子ども 癇癪を起こして大騒ぎ

 

OKパターン: 優しく声をかけて、イライラが治まらなくても見守る

 

ママ 「何か不安なこと、ある?」と優しく聞く

 

子ども 「なんでもない!」とイライラしながらお返事

 

ママ 「そんな日もあるね」と温かく見守る

 

幼少期の子どもは自分がイライラする理由を分かっていない事が多いので、理由を聞いても答えは出てきません。イライラが収まらなくても「そういう日もあるよね」くらいの気持ちで見守ってあげて下さい。

 

夫婦で応用 「パパも会社でイライラがたまることがある」

大人でも訳も分からずイライラして八つ当たりするような事があります。
仕事要因だなと思ったら、積極的に「会社で何か嫌な事でもあった?」と聞いてみてあげて下さい。「実は…」と話をする事でパパもスッキリし、夫婦の絆が深まるかも知れませんよ。

 

オススメ本

「わが家の母はビョーキです」
(中村ユキ、サンマーク出版)

 

4歳の時から、母親が統合失調症で精神科に通っていた経験を持つ女性のコミックエッセイ。
壮絶な幼少期、母からの深い愛情、長じてからの病気についての理解と優しく誠実な夫との結婚までが書かれてある。辛い中にも暖かさが感じられる。

 

 

 

(テニテオ 2017年3月号より)

 

テニテオ編集部の許可を得て掲載しています。無断での転載は、固くお断りします。

 

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