第19回 得意な感覚を知り、声かけに活かしてみよう ~視覚・聴覚・身体感覚~ (2012年10月)
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人には五感がありますが、その中で、人それぞれ得意な感覚(優位感覚)があることを知っていますか?
五感を「視覚」、「聴覚」、「身体感覚(触覚、味覚、嗅覚)」の3つに分けて、どれが得意かを考えてみましょう。
まずは、あなたが初めて自分の赤ちゃんを抱きしめたときのことを思い出してみてください。
どんな風景が思い浮かんだでしょうか?
赤ちゃんの表情だったり、産着などのイメージが思い浮かんだ方は視覚優位(Visual)です。
赤ちゃんの泣き声やその時にパパと話した言葉などを思い浮かんだ方は聴覚優位(Auditory)。
赤ちゃんの匂いやぬくもりなどを感じた方は身体感覚優位(Kinethetic)です。
赤ちゃんの例でなくても、「海と言えば何を思い浮かべる?」などでも優位感覚を知ることができます。
何をどう感じているかなど人と話すことはあまりないので、他者の優位感覚が何かなんて気にしたことないという人が多いと思いますが、実は優位感覚は人それぞれで、親子、夫婦でも違うことが多いのです。
では違っていると何が問題なのでしょう?
例えば、ママが聴覚優位だったら、聞いて覚えることが得意なので「ちゃんと聞いてね」と言いがちです。でも、もし子どもが視覚優位だったら、聞くことは苦手なのでなかなか覚えられませんが、「ちゃんと見てね」と書いてみせれば難なく覚えられたりします。
子どもが身体感覚優位なら、一度やらせてみると簡単に覚えられたりします。
子どもの得意な感覚を知り、その感覚を活かすような声かけをすることで、お互いストレスを感じずに生活することができます。
まずは自分の優位感覚を知り、次に子どもの優位感覚が何かを子どもの反応から推察してみて下さい。その上でその子にあった声かけができると良いですね。
実践してみよう!
子どもに何かをさせたい時、まずはしっかりお手本を見せるのが基本です。
それに加えて、視覚優位なら「見せる」など、子どもが得意な感覚を使いやすい声かけをするように意識すると、更に伝わりやすくなりますよ。
視覚優位 しっかり見せる
「ママがやるのをしっかり見てね」と雑巾絞りを見せる。
聴覚優位 言葉で補足する
「手で端っこを持って、きゅっとねじるのよ」と見せながら説明する。
身体感覚優位 手を添えてやらせてみる
「ママと一緒にやってみようか」と手を添えてやってみる。
夫婦で応用 「忘れたら困る用事は、忘れにくい方法で伝えよう」
大切な用事を頼まれた時、視覚優位なら言葉だけよりメールをもらった方が忘れないとか、身体感覚優位なら自分で書いたことは忘れないとか、それぞれ得意な記憶方法があります。
ぜひ、パパのタイプを調べて特徴を見つけ、日々の生活に活かしてください。
オススメ本
「モンテッソーリ教育を受けた子どもたち 幼児の経験と脳」
(相良敦子 著、河出書房新書)
モンテッソーリ教育で育てられた子どもたちが、どのような性格、考え方、生き方をしているのかを書いた本。
既に成長した子ども千人のデータから、どの経験がどう脳に効いたのかを検証しているところが面白い。
(テニテオ 2012年10月号より)
テニテオ編集部の許可を得て掲載しています。無断での転載は、固くお断りします。
本田から一言
私の優位感覚は聴覚です。聴覚>身体感覚>視覚の順番で強さが違っています。
この優位感覚という考え方を知り、自分の視覚の弱さを実感し、それ以来、視ることにも力を入れるようになりました。おかげで、以前より少しは、人の顔も覚えられるようになりました! 本当に苦手なんです。なので、今でも人の顔と名前を一致させるのは、かなり不得意です。
そんな感じで、感覚も意識すれば鍛えられたりしますよ。……私の場合、成果はささやかですが。
ちなみに、勉強をする時は、視覚、聴覚、身体感覚のすべてを使うと良いと言われますが、実はそうではなくて、自分の得意な感覚を使った勉強方法でやるのが一番身につきます。視覚が弱い私は、友人たちが大好きだった単語帳を使って単語を覚えられた試しがありません。だけど、聞いたり、書いたりすると覚えられるんです。
こんな感じで、我が子の得意な感覚は何かを知り、それを使った勉強法は何だろう、という視点を持っていると、子どもに良いアドバイスができるかも知れませんよ。(人は意識しなければ、他人=子どもも自分と同じだと思ってアドバイスをするので、親子で優位感覚が違うと、とても的外れなアドバイスになってしまうんです)