第62回 子どもに気持ちを切り替えさせる方法 (2016年5月号)
記事本文
壊れたおもちゃの前でいつまでも泣いている、何かが気に入らなくてグズグズ言い続ける、何がおかしいのかケラケラ笑ってろくに話を聞かない。子どもを育てていると、こんな事、しょっちゅうですよね。
あまりにしつこいと、思わず「もういい加減にしなさい!」と言いたくなりますが、残念ながら、大声で怒っても子どもの気持ちが切り替わることは、まずありません。
だけど実は、そんな時に、子どもの気持ちをスパッと切り替える小ワザがあります。
人は一度に一つのことしか感じられないって知ってますか?
例えば「悲しい」と「楽しい」を一度に感じることはできないんです。これを応用した小ワザです。
子どもを前に、唐突に「あっ!そうだっ!」とさも驚いたように言って下さい。
ほとんどの子どもは、一瞬でママが思い出したことに気を引かれて、直前まで何を感じていたか忘れ「なになに?」と興味を示します。これで子どもの意識がさっきまで執着していたものから引き剥がされます。
簡単なワザですが、かなり強力です。
子どもの意識がママの方に移ったら、すかさず何か続けます。
「そうそう!デザートに葡萄があるんだった!」とか「明日、◯◯ちゃんと遊ぶんだったね」とか、子どもが喜びそうなネタがおすすめです。「この前、◯◯で楽しかったよね〜」みたいな過去の話でも大丈夫。
要は子どもの気が引ければ良いんです。
このワザは、予防接種を嫌がって泣く子どもや赤ちゃんにも使えます。
針が刺さる直前に「あ〜っ!そうそう!」とやると、子どもが「なになに?」と思っている間に注射が終わってしまうという訳です。針が刺さった痛みを感じる間がないんですね。
色々使えるので、ぜひ日常生活の中で活用してくださいね。
実践してみよう!
こんな時、どうする?
転んでいつまでも泣く子どもにやってみましょう!
NGパターン
ママ 「もう!いつまでメソメソ泣いてるの!」と怒る
子ども 「うわーん!!」と大泣き
OKパターン
ママ 「あっ!! そうそう!」と何食わぬ顔をして話題を変える
子ども 「えっ? なに?」と痛みから気が逸れる
このワザを使う前に、まずは子どもの転んで痛い気持ちに寄り添ってあげましょう。多くの場合、ママが痛い気持ち、悲しい気持ちを分かってくれたら、それで泣き止みます。
このワザは、それでも気持ちが切り替わらない時に使います。
夫婦で応用 「パパの気持ちも切り替える」
言ってもどうしようもない事をブツブツ言い続けるパパの気持ちをパッと切り替えたい時も、唐突に「あっ!そうそう!」とやってみて。
大人は後に続く内容がイマイチだと元の気持ちに戻りやすいですが、それでも普通に話すよりは、スッキリ気持ちが切り替わる可能性が高いですよ。
オススメ本
「君がここにいるということ 小児科医と子どもたちの18の物語」
(緒方高司、草思社)
著者である小児科医がひたすらに子どもに寄り添っていく姿に心打たれる。
病気の子どもの話だけに、読んでいて涙が止まらないところもあるが、生きる事、育てる事、親子について等、色々と考えさせられる読み応えのある本。
(テニテオ 2016年5月号より)
テニテオ編集部の許可を得て掲載しています。無断での転載は、固くお断りします。