第4回 無心に子どもの言葉をくり返してみよう ~おうむ返し~ (2011年7月)
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子どもとどんな風に会話していますか?
子どもの話に、「へえ、なるほどね」などと相づちを打って聞く人、「じゃあ、こうしたら?」とアドバイスする人、忙しいからと話を聞かなかったり、適当に聞く人も、話の聞き方は色々ですよね。
では、子どもと会話する時に、子どもが「ママはわたし(ボク)のことをすごく分かってくれている!」と感じる会話法があることをご存知ですか? それは、ただ子どもの言葉をくり返す『おうむ返し』というものです。
例えば、子どもの「今日ね、○○ちゃんと遊んだの」という言葉に「へえ~。楽しかった?」と聞く代わりに、「そうなんだ、○○ちゃんと遊んだんだ」と子どもの言葉をそのままくり返します。親からするとくり返しただけなのに、子どもは満足げに「追いかけっこしたの」などと続けてくれます。更に「へえ~、追いかけっこしたんだね」と続けると、子どもはまたまた「そう! ボクが3回勝ったけど、2回は○○ちゃんが勝ったんだ」などと続けてくれます。
自分が言ったのと同じ言葉をママの口から聞くことで、子どもはママが自分のことをものすごく分かってくれている、受け入れられていると感じて、嬉しそうにしてくれるはずです。
そして、おうむ返しには、子どもが自ら発想を繰り広げ、話す言葉を考えて言うという効果があります。子どもの中に眠る百の言葉の中から、ママが一つを選んで質問してしまうと、その言葉への答えだけが返ってきます。だけど、ママが質問をせずに、ただ同じ言葉をくり返すおうむ返しをすることで子どもに自由に発想させると、思いもかけない言葉が飛び出してきますよ。
ただ繰り返すだけで? と感じたママも、ぜひ一度試してみて、子どもの反応を見てみてくださいね。
実践してみよう!
1.赤ちゃんにも使える!
喃語にもおうむ返ししてみましょう。
言葉の発達を促しますよ。
赤ちゃん「あーばーぶー」
ママ「あーばーぶー」
2.正しい言葉でおうむ返し
間違えた言葉には、指摘をせずに正しい言葉でおうむ返ししましょう。
子ども「ママ、ブッコロリ、おいしいね!」
ママ「そうね、ブロッコリー、おいしいね」
3.長い台詞はキーワードを拾って
そのままでは長すぎたら、キーとなる言葉だけを繰り返してもOKです。
子ども「今日、みんなで遊んでたら、ゆかちゃん、転んで泣いちゃったんだよ」
ママ「そうなんだ。ゆかちゃん、転んで泣いちゃったんだね」
夫婦で応用 「パパの不平不満をおうむ返し!」
パパが何かについて不平不満を言い出したら練習のチャンスです!
ちゃんと「へえ」、「そうなんだ」などを挟みながら、ひたすら、おうむ返しをします。しばらく繰り返すと、何に腹が立っていたのかに気付いて、一人でクールダウンする可能性が高いですよ。
オススメ本
「ヨコミネ式 子どもが天才になる4つのスイッチ」
(横峯吉文 著、日本文芸社)
読み・書き・計算、運動などを子どもたちに取り組ませ、一人も落ちこぼれを出すことなく、楽しく身に付けさせるヨコミネ式での幼児教育について書かれた本。
著者が30年の保育園運営で子どもたちに接した上での言葉は説得力があり、子育てへのヒントが満載されています。
(テニテオ 2011年7月号より)
テニテオ編集部の許可を得て掲載しています。無断での転載は、固くお断りします。
本田から一言
おうむ返しは、テクニカルに、気持ちを込めずに使った場合でも、「この人は、私のことを分かってくれている! 嬉しい!」と感じてしまうような、強い力を持っています。そして、幼児であっても、してもらうと、とても気持ちが良いもののようです。
私の娘が2歳の頃の話です。保育園帰りに娘が、空を見上げて「ママ、ひこうち!」と言います。ぼーっとしていた私が「うん、そうだね」と返すと、娘は何度でも、「ママ、ほら、ひこうちだよ!」とくり返すんです。当時、丁寧におうむ返しをしながら育てていたので、あ、これはおうむ返しをして欲しいんだと気が付きました。慌てて、「本当だね。飛行機だね」と返すと、娘はとても満足そうな笑顔を見せ、ようやく、「ビューンっていっちゃったよ!」と話を先へと進めました。
たった2歳の子でも、おうむ返しは嬉しいんですね。
もちろん、元々は大人に使うコミュニケーションスキルの一つなので、幼児から大人まで、誰にでも使うことができます。使い始めはぎこちなくなりがちですが、すぐに慣れますよ。ぜひ、使ってみて下さいね。