第63回 子どもに意見を聞くときのコツは? (2016年6月号)

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テニテオ,teniteo,子育て講座,2016年6月

「どれがいい?」とか「何したい?」と聞いても、「なんでもいい」と言って、ちゃんとした答えが返ってこない子がいます。そんな子どもに「ちゃんと考えてよ」とイライラするママもいれば、自分で好きに決められるから楽ちんだと思うママもいると思います。

 

では、そういう子どもたちが、何を考えているか知っていますか?

 

本当は子どもの中には、ちゃんと答えがあるんです。
ただ、過去に「どうしたい?」と聞かれて答えたら「でも、ママは〇〇の方が良いな」とか「え~、それはないでしょう~!」などと否定されて、自分の意見がまったく通らなかったという経験を繰り返したため、言う気がしなくなってしまったんです。こうした「なんでもいい」という言葉の裏には「どうせ答えたって聞いてくれないじゃん」という諦めや、ママへの怒りが隠されてます。
このような事の繰り返しが、自分の意見を言わない、ママの顔色を見て、指示を待つ子どもを育てます。

 

では、どのようにすれば、子どもが自分の意見を言ってくれるようになるのでしょうか?
一番必要なのは、子どもの意見を受け入れる覚悟を持って聞く事です。

 

例えば服を買う時に「どれがいい?」と聞いておいて、子どもが選んだのを否定するのはNGです。
許容できないものがあるのなら、最初から「これとこれ、どっちがいい?」など、子どもが何を選んでも受け入れられるような問いかけにしてください。
また、否定する時も頭ごなしではなく「なるほど、〇〇がいいんだ。どうして〇〇がいいの?」というように、まず子どもの気持ちを理解しようとしてみましょう。その後なら「でもママはね…」と意見を続けたとしても、気持ちよく受け入れてもらえる可能性が高くなりますよ。

 

実践してみよう!

こんな時、どうする?

 

洋服屋さんで子どもに服を買ってあげる時、子どもにどう選ばせる?

 

NGパターン

 

ママ 「ねえ、どの服がいい?」と子どもに聞く

 

子ども 「これー!!」とお値段の高い服を選ぶ

 

  ↓

 

ママ 「これは高いから買えないなー」と怖い顔

 

子ども 「えーっ!」と不満顔

 

OKパターン

 

ママ 「この中から、服買ってあげる。選んでごらん」と2つ子どもに見せる

 

子ども 「これー!!」と1つを選ぶ

 

 ↓

 

ママ 「はい、じゃ、買いに行こうー!」と笑顔でお会計に

 

子ども 「わーい!」と笑顔

 

制限がある場合、先に理由を説明するだけで、納得度は違います。好きに選んで良いと思わせて、一生懸命選んだら「それはダメ」だと言われると、後出しじゃんけん状態で、子どももストレスが溜まってしまいます。

 

夫婦で応用 「パパの意見もちゃんと聞く」

子育てについて「どう思う?」と聞いた後、パパの答えを否定してしまう事、ありませんか?
実際、ママの方が正しいかも知れませんが、意見を聞いたなら、せめて「なるほど、そういう考え方もあるんだ」などの相づちを打ってあげると、パパも気持ちよく話せますよ。

 

オススメ本

「運命の子 トリソミー 短命という定めの男の子を授かった家族の物語」
(松永正訓、小学館)

 

遺伝子異常で、長く生きられない事が最初から分かっている子どもたち。
親がどのような想いで子どもを育てているのかを、子どもと家族の現実を小児科医が丁寧に取材をして書いた一冊。悲しくも尊い命の物語が、心を強く打つ。

 

 

 

(テニテオ 2016年6月号より)

 

テニテオ編集部の許可を得て掲載しています。無断での転載は、固くお断りします。

 

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