第55回 抱き癖が付くから抱いちゃダメって本当? (2015年10月号)
記事本文
子どもを育てていると、一度くらいは「抱き癖が付くから、泣いても抱いちゃダメよ」と主張をする年配の方に出会います。「甘えん坊」や「我がまま」になるから、抱かない方が良いなどと言われては、ママも焦ってしまいますよね。
では本当に、抱き癖が付くから泣いている赤ちゃんを抱っこしてはいけないのでしょうか?
もちろん、そんな事はありません。それは40~50年前の育児法で、現在では抱かない方が悪影響があると言われています。
お腹の中でママの体温に包まれて何个月も過ごしていた赤ちゃんは、人肌のぬくもりが大好きです。「どうしたの?」「お腹空いたかな?」「おむつ濡れちゃった?」などと言いながら抱っこするだけでも、赤ちゃんはとても安心します。ぜひ遠慮なく、大好きなママのぬくもりをプレゼントしてあげてくださいね。
では逆に、赤ちゃんを全く抱かずに育てたらどうなるか知っていますか?
お腹が空いた、オムツ替えてと泣く赤ちゃんを常に放置していると、最初は一生懸命泣いて自分の意思を伝えようとしていた赤ちゃんも、徐々に「どうせ泣いても何もやってくれない」と諦め始めるんです。諦める…つまり、泣くのを止めてしまいます。
ほとんど泣かずに表情もあまり変えない、親の愛情を諦めてしまった赤ちゃんを「サイレントベイビー」と言います。ネグレクト(育児放棄)の被害児に多く見られる症状です。
ここまで行く事は稀ですが、泣く赤ちゃんを無視すると言うのは、その子の心を殺してしまう、むごい行為です。
とはいえ、いつもすぐに抱っこできる訳でもありません。そんな時は「今、手が離せないから、ちょっと待っててね」とちゃんと返事をして、後々手が空いてから抱っこしてあげて下さい。
実践してみよう!
赤ちゃんだけでなく、幼児はみんな抱っこが大好き。
ちょっと厳しく叱りすぎたな、最近元気ないな等、子どもの様子がいつもと違っていたら、ぎゅっと抱きしめて話を聞いてあげてください。
こんな時、どうする?
もう5歳なのに、子どもが「ママ、抱っこ!」としがみついて離れない。
NGパターン
子どもを笑い飛ばしてしまうママ
ママ 「いやあね、もう5歳でしょう?」と苦笑い
子ども 「……」 何も言えなくなる
OKパターン
笑顔で抱き上げてあげるママ
ママ 「あら、久しぶりね? どうしたの?」と笑顔で抱き上げる
子ども 「あのね……」と話し出す
夫婦で応用 「時には、パパともスキンシップしてみましょう!」
夫婦間であってもスキンシップは大切です。たまには、子どもが中心にあるパパとママという関係ではなく男女を意識してみるのも良いかも知れません。
密かに「最近、子どもの事ばっかり」と寂しい思いをしているパパも多いようですよ。
オススメ本
「学校へ行けない僕と9人の先生」
(棚園正一、双葉社)
小学校入学早々、担任とのトラブルで学校に行けなくなってしまった著者が書いた自伝漫画。
学校に行けない中で漫画と出会い、その道に邁進する。全てが完ぺきでなくても、大好きな何かを突き詰める事で十分に幸せに生きていけると感じられる一冊。
(テニテオ 2015年10月号より)
テニテオ編集部の許可を得て掲載しています。無断での転載は、固くお断りします。