第5回 「どうしてそうしようと思ったの?」 ~答えは我が子の中にある~ (2011年8月)

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テニテオ,teniteo,子育て講座,2011年8月

子育てコーチングという言葉を知っていますか?
ビジネスの場で使われる人材開発手法コーチングを子育てに応用したもので、幾つか特徴的な考え方があります。

 

その代表が「答えは子どもの中にある」です。子どもに答えを聞く前に、「これはこういうこと」と親が先に答えを出してしまうと、山ほどある思いの中の一つではあるかも知れないけど、子どもが一番に感じていることを知ることはできません。
先回りしてママが答えを出してしまうのではなく、子どもに「どうしてそうしようと思ったのか、ママに教えてくれる?」と質問してみましょう。

 

例えば、お兄ちゃんが妹を叩いて泣かせているのを目撃した時、「こら!小さい子を叩いたりして!」と叱る前に、穏やかな声で「どうしてそうしたの?」と聞いてみてください。
小さければ思いを言葉にすることが苦手で、大きければ複雑な心中を人に話すのが難しくて、もしかしたらすんなり答えが出てこないかも知れません。でも、「ママが○○ちゃんばっかり可愛がるから……」と悔し涙を流すかも知れないし、「○○がボクのおもちゃ投げるから」と妹の問題行動を教えてくれるかも知れません。

 

悪いことをした時ではなくても、子どもの行動を見ていて「何でこんなことするんだろう?」と思った時にも、聞いてみると「へえ~、そんなこと考えてるんだ」というような意外な答えが返って来ることもあります。
ママから見ると、まだまだ未熟な子どもたちです。どんなことでもママの方が分かっていると思いがちですが、子どもも日々新しいことを学びながら、色んな事を考えています。

 

ぜひ、「どうしてそうしようと思ったのか、ママに教えてくれる?」と、子どもの心の中を覗いてみてください。

 

実践してみよう!

「ママなんか大っキライ!!」

 

そう言われたときは、どう返せばいいの?

 

1.まずは笑顔で優しく「どうしてそう思うの?」と問いかけましょう。

 

ママ「どうして、そう思うの?」

 

2.すると、子どもは素直に、なぜそんな態度を取ったか理由を話してくれます。

 

子ども「だって、ママ、後で一緒に遊ぶって言ったのに…」

 

3.子どもが素直に話してくれたら、ママは笑顔で子どもを受け止めましょう。

 

ママ「そう言えば、約束したよね。ごめんね」
子ども「いいよ。遊んでくれる?」

 

夫婦で応用 「答えはパパの中にある!?」

「何考えてるのか分かんない!」とパパに腹が立つことはありませんか?
そんな時、直接「どうしてそんしたの?」と聞いてみると、「なるほど」と納得できる事もあります。
男女ではやはり考え方が違うものです。なるべく穏やかな声で問いかけてみましょう。

 

オススメ本

「子どもの心のコーチング ~一人で考え一人でできる子の育て方~」
(菅原裕子 著、PHP文庫)

 

人材開発コンサルタントによる、コーチングを使った子育て方法の本。
子どもの成長にしたがって、親は子どもを保護する保護者から、子どもを見守る親になる必要がある等、普通の育児書とは違う視点での子育て方法が色々載っている。大人にも応用が利く内容が多々あります。

 

 

 

(テニテオ 2011年8月号より)

 

テニテオ編集部の許可を得て掲載しています。無断での転載は、固くお断りします。

 

本田から一言

 

実は、この「どうしてそうしようと思ったの?」は、私が子どもの頃、私の父がよく言っていた言葉です。幼い私を相手に、真顔で、本気でそう尋ねてくれました。私が一生懸命語るつたない言葉を、父はいつも真剣に聞いてくれました。そんな父を、私は大好きでした。

 

親は子どもの行動のすべてを見ている訳ではありません。もちろん、子どもが何を考えているのか、すべて分かるはずもありません。だから、「なんで、そんなことをしたの!!」と思ったような時には、まずは真摯な気持ちで、子どもに聞いてみて下さい。答えは子どもの中にしかありません。決して、子どもの中以外の場所にはないのです。

 

尋ねられた子どもは、一生懸命話してくれますよ。そして、自分の話を聞こうとしてくれる親を大好きになります。
私もそうでしたし、我が子たちも一生懸命話してくれ、できるだけ子どもの気持ちを聞こうとする私を大好きだと言ってくれます。

 

もちろん、私もいつも冷静でいられる訳ではありません。うっかりと頭ごなしに何か言ってしまった時には、子どもは泣きながら反論してきます。そんな時は、慌てて我に返って、「ごめんね。ママがいけなかったね。どうして、そうしようと思ったのか、ママに教えてくれる?」と仕切りなおすようにしています。

 

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