第1回 ママの思いを伝えるために、もっと深い信頼関係を築こう (2011年4月)

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テニテオ,teniteo,子育て講座,2011年4月

子育てに限らず、人間関係で一番大切な物は信頼関係(ラポール)です。
大好きな親友に「あなたって、ちょっと我がままよね」と言われたら素直に反省できるのに、大嫌いな人に同じことを言われたら、反感を覚えませんか?

 

これは、ラポールのある相手の言葉なら心にちゃんと届くけれど、ラポールがない相手の言葉には反発してしまい心まで届かないという実例です。子どもとラポールが取れていないと、ママがどんなに良いことを言ったとしても、子どもは聞いてくれません。まずは子どもの心に、ママの言葉がちゃんと届けられるように、子どもとの間にラポールを築きましょう。

 

でも、どうやって?

 

ラポールを築くためのスキルの一つにペーシングというものがあります。相手のペースに合わせると言う意味です。ペースが合う人同士では自然にラポールが築かれるというのを利用し、あえてペースを合わせることで積極的にラポールを築きます。
もしも、あなたがくたびれて足取りがゆっくりになった時、隣にいた人が気付かずサッサと行ってしまったら? 逆に、さりげなく自分に合わせてスピードを落としてくれたら? 自分に合わせてくれた人の方に好意を持ちませんか?
合わせる物は色々あり、スピードから身振りの大きさ、声の大きさ、呼吸、感情まで様々な物を合わせることができます。

 

相手に「合わせてあげる」と考えると、「何で私だけが子どもに合わせなきゃいけないの」と思いがちですが、最初の少しだけ頑張れば、その後は2人ともがとても心地よい場を共有できるんです。
ほのぼのとした幸せをぜひ体験してみてください。
今日はこの中でも私が一番大切だと思っている感情のペーシングを下の「実践してみよう」で紹介したいと思います。

 

実践してみよう!

1.欲しい気持ちへのペーシング

 

お店などで、子どもが「買って買って!」と大騒ぎしたら、ママは「そう、欲しいのね」と笑顔で気持ちだけは受け入れ、「でも、今日は買わないの」と、子どもを連れて、その場を去りましょう。
まずは受け入れる。だけど、言いなりにはならないのが大切です。

 

2.嬉しい気持ちへのペーシング

 

子どもが虫を見つけて、嬉しそうに「ママ、虫だよ!」と持ってきたら、ママも笑顔で「虫さんだね」などと答えましょう。
もしも、虫が大の苦手でも、まずは頑張って笑顔で受け入れてあげて下さい。

 

夫婦で応用 「パパも愛されたがっている!?」

子どもは可愛い! だけど、本当は自分だって大事にして欲しい。
そんなパパの気持ちにペーシング。
たまには子どもではなく、「今日はパパの好きな物を作るわね。何がいい?」と聞いてみて。ママのそんな優しい気遣いが、疲れたパパのハートをグッと掴んで離さないかも!

 

オススメ本

「子供が育つ魔法の言葉」
 (ドロシー・ロー・ノルト 著、PHP文庫)

 

「けなされて育つと、子どもは、人をけなすようになる」で始まり「和気あいあいとした家庭で育てば、子どもは、この世の中はいいところだと思えるようになる」で終わる「子は親の鏡」という詩の作者が書いた子育ての本。
子は親が育てたように育つのだということが実感できる、ケーススタディでとても読みやすい。
子どもの気持ちが良く分かります。

 

 

 

(テニテオ 2011年4月号より)

 

テニテオ編集部の許可を得て掲載しています。無断での転載は、固くお断りします。

 

本田より一言

 

親は子どものためを思って、色々な場面で子どもに注意をしたりアドバイスをしたりします。だけど、親子の間にラポール(信頼関係)がなかったら、その言葉は子どもには届きません。「また言ってる」、「はいはい」、「うるさいなー」などと、軽く受け流されてしまいます。

 

子どもを育てる中で、ラポールを築くことが何より大切だというのは、これが理由です。
親子関係に限らず、人は「何を言われたかではなく、誰に言われたか」を大切にしているのだと、覚えておいてください。

 

初回の子育て講座(本文)では、ラポールを築く方法としてペーシングについて説明しましたが、これはカウンセラーやプロコーチが、自分に相談に来たクライアントとの信頼関係を築くために、必ず使うテクニックです。もちろん、これ以外のテクニックも駆使するのですが、ペーシングには初めて会った相手を信頼させ、自分のことを相談しようと思わせるだけの力があります。ぜひ、お子さんとのより良い関係を築くために使ってみて下さいね。

 

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