第71回 子どもに気持ちよく動いてもらうコツ (2017年2月号)
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やって欲しいと思うことを、子どもがなかなかしてくれない時に、ちょっとした言葉かけで気持ちよく動いてもらう方法があります。
例えば、もう自分でできるはずなのに靴下を履いてくれない、お箸を運んでもらおうとしてもやってくれない、そんな時に使える小ワザです。
靴下の例では「ねえ、靴下って自分で履けるんだっけ?」と聞いてみます。
ポイントは明るく楽しそうな声で「〇〇できるんだっけ?」と疑問系で聞くこと。
小さい子どもは誰もが、自分が何かをできるようになったことを喜び、得意に思っています。なので「もうできるようになったんだっけ?」という風に聞かれると、できるところをママに見せてあげたくなるんです。決して「さあやれ」とばかりに怖い声で話してはいけません。ママなんて知らない、と拗ねられてしまいます。
「できるよ!」と答えただけで動かない時は、ママはすかさず「わあ、すごい。見せて見せて」と促します。
その言葉を受けると子どもは、すごい自分をママに見せたくて、さっきまでのぐずぐずが嘘のように素早くやってみせて「ほらね?」と得意な顔をしますよ。
この後、最後の仕上げです。
しっかり「本当だ!すごい、すごい!」や「〇〇くん、大きくなったね~。もう自分で全部できるじゃん!」など、ちょっと大げさなくらいに褒めてあげて下さい。
幼児は色んなことを自分でできるようになりたいと思っていて、日々チャレンジしています。だけど一度できるようになってしまうと、やらなくなってしまうこともあります。
そんな時に、頑張ってる自分はカッコイイ、〇〇ができるようになった自分はすごいんだという気持ちをうまく盛り上げてあげると、また張り切って色々行動してくれますよ。
実践してみよう!
こんな時、どうする?
保育園に行く時間なのに、いつまでも靴下を履かない3歳児。
NGパターン
ママ 「ほら! 早く履きなさい! 遅れちゃうよ!」と怖い顔で叱りながら
子ども 「嫌だね~」と不満顔
OKパターン
ママ 「もう靴下って、自分で履けるんだっけ?」と明るい声で
子ども 「できるよ!」とやる気満々
大きな子に対して、あまりに簡単な事でこの小ワザを使うと「バカにしてるの?」と思われてしまうので、園児くらい
までに使って下さい。(小学生には止めた方が無難です)
夫婦で応用 「いつもやらない事をやって欲しかったら」
パパにも同じ技が使えます。
「ねえ、あなた〇〇ってできるんだっけ?」などとママが苦手なことを尋ねます。「できるよ」と言われたら「すごい!(私できないから)お願いしてもいい?」と頼みます。
普通に頼むより、動いてくれる確率が高くなりますよ。
オススメ本
「発達障害のわたしのこころの声 生活・仕事で困っている理由&困らない工夫」
(星野あゆみ、学研)
40歳を過ぎて発達障害の診断を受けた著者による、日々の工夫や困ることなどが活き活きと描かれた本。
仕事もバリバリして、結婚もしている著者。そんな充実した生活を送るコツや、定型発達の人との感じ方や考え方の違いがよく分かる。
(テニテオ 2017年2月号より)
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