第69回 成功体験をたっぷり味あわせてあげよう (2016年12月号)

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テニテオ,teniteo,子育て講座,2016年12月

子どもに順調な成長をして欲しいと思うのは、親として自然な感情です。
ただ、すくすく成長して欲しいと願うあまりに、次々に課題を与え、子どもに乗り越えさせようとするのは良くありません。

 

例えば、鉄棒で前回りができるようになった子に、すぐに、「次はもう一つ大きな鉄棒で頑張ろうか?」「前回りの次は逆上がりの練習しようか?」などと言ったりと、このような姿をよく見かけます。
この時、子どもの心の中は「一生懸命練習して、やっとできるようになった前回り! とっても嬉しかったけど、もうママは褒めてくれないんだ。しかももう次の事を練習しろって…」とこんな感じになっています。
子どもの心は寂しさでいっぱいです。

 

前の段階をクリアしたからといって新しい事は、すぐにできるようになりません。
その段階で「次に次に」と追い立てるように育てると、子どもは成功体験を味わう間もなく失敗体験を積み重ねてしまう事になります。

 

何かをやりたいと言う意欲の元は、成功体験から来ます。
「やった!」「できた!」の瞬間、子どもはとても幸せな気持ちになり、その幸せな気持ちをまた味わいたくて「次も頑張ろう!」と思います。

 

ですが、幸せな気持ちが一瞬しかなく、すぐに苦しい修行のような毎日が続くのだとしたら、頑張ろうという気持ちは沸いてこなくなってしまいます。

 

この「成功を繰り返す」というのは、技術の定着にも必要になります。
勉強も運動も「わかった/できた」の後の反復練習で、技術を身に付けていきます。

 

やる気のある子を育てるためにも、しっかりした技術を身に付けるためにも、ぜひこ『成功を味わう時間』をできるだけたくさん子どもにプレゼントしてあげて下さい。

 

実践してみよう!

こんな時、どうする?

 

鉄棒で前回りができるようになって喜ぶ子ども。

 

子ども 「やった!!」

 

NGパターン

 

ママ 「前回りは良いから、次は逆上がりしよう」と前のめりにリクエスト

 

子ども 「…え? まだできないよ」と困り顔

 

OKパターン

 

ママ 「すごいね。上手だね~!」と拍手で大喜び

 

子ども 「がんばるぞ~!」とやる気満々

 

子どもは周りの子どもを観察し、自分のタイミングで次のステップへと進みます。奥手で自分からは次に行かない場合も、しっかり成功体験を積ませた上で「そろそろ〇〇もしてみる?」と促してみて下さい。

 

夫婦で応用 「成功体験はパパにも大切」

子どもとどう遊んで良いのか分からないパパも、「一緒に〇〇やってあげて」と、成功率の高いお題を出して相手をさせ、成功体験を繰り返すことで徐々に何もなくても子どもと楽しく遊べるようになるかも。
大人でも苦手を克服するには、小さな成功体験が必須です。

 

オススメ本

「明日の食卓」
(椰月美智子、角川書店)

 

同姓同名の男の子・高橋ユウ(8歳)を育てる3人の母親の物語。
ユウが虐待死するかような描写からはじまり、その後に各々の家庭が描かれる。可愛いはずの子どもが憎たらしくなる瞬間等、リアルな描写が怖く、胸も痛むが、非常に興味深い。

 

 

 

(テニテオ 2016年12月号より)

 

テニテオ編集部の許可を得て掲載しています。無断での転載は、固くお断りします。

 

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