第3回 幸せいっぱいに育てる近道 ~ありのままの子どもを受け入れよう~ (2011年6月)
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子どもの一番の望みってなんでしょう?
私は、「どんな自分でも大好きでいて欲しい」つまり、「ありのままの自分を受け入れて欲しい」ということではないかと思っています。これは子どもだけではなく、だれもが本能的に望んでいることでもあります。
さて、それは何故でしょう?
逆説的な説明になってしまいますが、ありのままを受け入れられていない状況を想像してみてください。
ありのままを受け入れられていないのだから、「そのままのあなたじゃダメ」と言われているのと同じことです。泣き虫、片づけられない、好き嫌いがある、言うことを聞かない、それはその子の一部でしかありません。でも、「ダメ」と言われると、まるで人格のすべてを否定されているような気持ちになり、悲しくなってしまいます。
ママが子どもを受け入れられずにいると、「このままじゃ自分はダメなんだ」という否定的な気持ちが子どもの中にどんどん溜まっていってしまいます。
では、ありのままを受け入れてあげると、どうでしょう?
甘やかしになってはいけませんが、否定する前に、まずは「そのままのあなたで良いんだよ」というメッセージが子どもに伝わることで、受け入れられた幸せな暖かい気持ちが蓄積され、子どもはドンドン元気になります。
「好き嫌いはあるけど、少しでも食べられるように頑張ろうね」、「ママの言うことは聞かないけど、自立心旺盛なのよね」などと、子どものできない部分から少し離れ、遠くから見るようにして、まずは、そのままの子どもを受け入れてあげて下さい。
どうしても認められない部分がある時も、要は気の持ちようです。「(いろいろあるけど)そのままのあなたが大好きよ」とぜひ子どもに伝えてあげて下さい。
実践してみよう!
どうしても認められないときは、どうすれば良い?
1.視点を変えてみる
他の子はどうだろう?
自分の子どもの頃はどうだっけ?
と、違う方向から考えてみて。
2.子どもについて知ってみる
よく食べこぼすのは、まだ不器用なだけ?
など、ひとつ掘り下げて考えてみる。
3.長所と短所をひっくり返す
長所と短所は基本的に表裏一体です。
物の見方を変えて、気持ちを楽にしましょう。
夫婦で応用 「できないパパも受け入れてあげよう」
子育てや家事を分担してくれないパパ。ママだって腹が立ちますよね。
でも、「少しは手伝ってよ!」と怒る前に、まずは「そうよね。パパも仕事で疲れてるんだよね」と受け入れてみよう。
その後で、「でもお願い」と頼むと、意外と聞いてくれるかも?
オススメ本
「うちの子、どうして同じ服ばかり着たがるの? ママたちの50の疑問に答えます」
(ジェイナー・マーフィ 著、亀井よし子 訳、草思社)
タイトルの他、「ごっこ遊びが大好きなのはなぜ?」、「どうして噛みつくの?」など、子どものこだわりや大人が好ましくないと思う行動の理由を詳細に説明した上で、だからこうしようと書かれた本。なるほどと思わされます。
(テニテオ 2011年6月号より)
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本田から一言
人は誰もが、ありのままの自分を受け入れて欲しいと思っています。
ありのままを受け入れられない状況が続くと、子どもの心には「自分はダメな人間だ」「どうせ、わたし/ぼくなんて」というような劣等感が育ちます。そして、ありのままを受け入れてもらえない、つまり、自分という人間を認めてもらえないままに育つと、「○○さんって、本当にすごいですね!」と心からほめてもらった時ですら、「まさか、そんなはずないですよ~」と素直に受け取れない大人になってしまう可能性が高いんですよ。
心の病を得る大人の多くが、実は、「自分はなんてダメな人間なんだ」と思っています。悲しいことに、心理療法やカウンセリングの世界では、このような自己肯定感の低い状態(自分には価値がないと思っている状態)は、子どもの頃の親の接し方から来ていることがほとんどだと言われています。